中学受験、なぜ小4から?始める前に知っておきたいポイント
- Kentaro K
- 3月24日
- 読了時間: 9分
更新日:4月9日

東京都内では小学生の2割が私立中に進学するそうです。
これはあくまで東京都全体の話です。
私たちの塾がある品川区では、
私立中進学者の割合は4割に迫ろうとする勢いです。
これは"進学者"であって、"受験者"ではありません。
受験者で言えば、
小学生の生徒・保護者から話を聞くと、
クラスの7割ほどが私立中を受験するとのこと。
学校によってはほぼ全員が中学受験をするので、
6年生は1月~2月は授業がない、なんて学校もあるそうです。

中学受験は小4からってホント?
それほどまでに、今や「当たり前」になった中学受験、
多くの方は小4(小3の2月)から塾通いをされます。
なぜ小4から、塾に通う必要があるのでしょう?
それは中受のカリキュラムに秘密があります。
いわゆる大手中学受験塾で使用している、「予習シリーズ」の4年生のカリキュラムを見てみましょう。
※予習シリーズとは、四谷大塚が発行している中学受験用のメイン教材で、多くの中学受験塾で使用されています。

ご覧の通り、小学校4年生終了時点で、
学校で5年生までに習う内容の多くを終わらせてしまっています。
さらに予習シリーズの5年生・6年生のカリキュラムは以下です。

小5からの受験塾への途中加入はかなり苦しそうですね。
5年生からはつるかめ算・旅人算など、学校のカリキュラム外の学習が始まります。
この特殊なカリキュラムは、中学受験の入試の難易度に対応するためのものです。
なぜこんなに先取りのカリキュラムが必要なのか?
偏差値の高い、いわゆる上位校では、
公立の学校の範囲外の特殊算に加え、
難易度の高い問題がバンバン出題されます。
しかも入試問題と塾教材がイタチごっこのように洗練を繰り返すことで
難易度は年々上昇しており、
20年前の難問は今の基本問題という言葉が生まれるほどです。


国語も理科も社会も、都立高校入試より難しいケースも多いです。
それに加え、中学受験のテキストでは対応しきれない時事問題が出題されたり、
高度な情報処理能力を要する資料や図表の読み取り問題や、
年々長文化する文章題(国語は都立高校入試の倍以上)など、
単に「学力」だけでは対応しきれなくなってきています。
よって、悠長に学校のカリキュラム通りの勉強をしていると
そういった難易度の高い問題に全く対応出来なくなってしまいます。
少しでも進度に余裕を作って、高度な問題を解く時間を作らなければなりません。
現に予習シリーズも、2月~7月、9月~1月と、
カリキュラム上、夏期講習期間が抜けています。
これは、そこまでに習った単元の混合問題や難易度の高い問題を解く期間を設けるためです。
先取りによる弊害はないのか
中学受験をする上では先取りカリキュラムが必須、というお話をさせて頂きました。
でも気になるのが、「ここまで詰め込んで弊害はないのか」ですよね。
それを紐解くために、
逆になぜ、公立のカリキュラムはこんなにものんびりなのか、という話ですが、
これは子どもの脳の発達段階を考慮してのものです。
いわゆる「小4の壁、10歳の壁」というものです。

小4=10歳というのは、
子どもの頭の中が、
具体から抽象へ、感情から論理へ、主観から客観へと進化する時期なんですね。
とはいえ脳の発達なので、当然個人差があります。
だから小学校4年生の1年間をかけて、
段々と抽象的、論理的な学習が進むようになっています。
ただ、中学受験カリキュラムは残念ながら、
「小4の壁、10歳の壁」を考慮したカリキュラムになっていません。
というか、入試の難易度を考えれば、
どうしてもこのスピード感で動かざるを得ないのが実情です。
なのでよく言われる、
「精神的に幼い子は中学受験には向かない」というのはこれが理由です。
理解が追い付かないままカリキュラムが進んでしまうので、
劣等感だけが醸成されていく子も少なくありません。
中学受験をすすめるのであれば、その点も考慮する必要がありそうです。

志望校のレベルによって変わる受験の準備
話を戻して、ではどのくらいのレベルの学校が、
予習シリーズレベルのカリキュラムが必要なのでしょう。
こちらに都内の私立中(公立中高一貫含む)のランキングをご用意しました。

こちらのランキングで概ね偏差値55を超える学校では、
中学受験特有の難易度の高い問題が出題される傾向があります。
これらの学校では小学校の学習範囲を超えた高度な知識や思考力が求められるため、
小4からの塾通い&予習シリーズカリキュラムでの対策が有効となります。
ちなみにこちらは四谷の偏差値を使用していますが、
「えっ、あの学校の偏差値ってこんなに低いの?」
そうお感じになった方もいるかもしれません。
偏差値というのは母集団(模試を受ける人たち)によって変わります。
そう考えれば、模試を受ける子たちの多くは、
中学受験を目指して勉強をしている子たち(学校のTOP20%)の平均ですから、
中学受験の偏差値50は学力的には思っているよりも高いです。
だいたい+10すると私たちの感覚と合ってくると言われています。

実際、私立中に合格するとその後の進路はどうなるのか?
私立中進学者のほとんどが附属の高校に進学するかと思います。
そこで、主な附属の私立の進学実績を見てみましょう。
各学校の進学実績を【東大・京大・旧帝一工(科)・他国立・早慶上理ICU・GMARCH・成成明・日東駒専・大東亜帝国】の合格者数でまとめました。
(学校によっては進学者なのか合格者なのか不明なところもありましたので、あくまでボリュームゾーンの把握という意味でご確認下さい。)

※2024年度中に収集したデータなので若干古い点ご容赦下さい。
このランキングから何をお感じになるかは人それぞれかと思いますが、
私立中高一貫校は大学受験への準備が早期に始まり、
進路指導など手厚いサポートがあるだけに、
上位校ほど素晴らしい合格実績が出ていると言えるでしょう。
では、近隣の都立高校の合格実績とも比較してみましょう。
※偏差値は上でもお伝えしている通り単純比較になりませんのであしからず。

なんと都立高、なかなか善戦しています。
実は都立高校も近年、進学指導重点校制度の充実や教育改革により、難関大への実績を伸ばしつつあります。
さすが日比谷は別格ですね。公立の学校とは思えないような合格実績です。
青山高校や小山台高校も立派で、
主なボリュームゾーンはGMARCHとはいえ、早慶上理にもかなりの合格者を出しています。
中学受験でいう偏差値60に匹敵するほどの合格実績を出していますね。
近年では私立高校授業料無償化(補助)の影響もあって、
都立高校の倍率が下がり、2025年度入試に至っては平均1.2倍とのことです。
都立高校から有名私大への進学も1つの手段と言えるでしょう。
中学受験者、特に保護者は公立の勉強を忌避しがちですが、
公立=ダメという公式は成り立たず、
中上~上位校であれば近年では十分に難関大を狙える環境が整いつつあることが分かります。

中学受験に真剣に向き合う
さてここまでの記事を読んで、皆さんはどうお感じになったでしょうか。
ご家庭の教育方針なので、
公立中→都立高の方が絶対に良い!とか
私立中がいいに決まってる!なんて偏った意見を言うつもりはありません。
ただ、最近の過熱具合から言って
「仲の良いお友達が塾に行き出したから」という、
「何となく中受」も相当数お見受けします。
(さすがに「何となく中受」は私は反対です。)
私は、中学受験を考えるならば絶対に必要な、
カリキュラム:小4からの先取り学習に対応させるほどの志望校(もしくは志望度)か?
10歳の壁の問題:お子様の発達段階に無理はないか?
出口戦略(附属高校の大学進学実績):その私立中の先にどんな大学が見えているか?
のあたりを是非熟考して頂きたく、記事を書きました。
「中学受験をしない」ということだって、立派な教育戦略の1つです。
大切なのは「合格・不合格」ではなく、
その子の将来に合った学校選びです。
どんな進路を描くのか、親子でしっかり話し合っておくことが大切でしょう。
焦らず、でも油断せず。
今、この瞬間から出来る準備を一緒に考えましょう。

ITTO個別指導学院では何が出来る?
ITTO個別指導学院品川エリアでは、
概ね偏差値60を超える私立中が第一志望の場合は、
大手受験塾さんをお勧めさせて頂いています。
なので、大手受験塾さんとの併塾で偏差値60以上の私立中を目指すという方が数名いらっしゃいます。
偏差値60までの学校を目指したい場合、
中学受験(予習シリーズ)のカリキュラムを意識しつつ、
平常時は学校のカリキュラムを先取りし、
季節講習時に予習を一気に進めつつ発展問題の演習、
1人1人の学力、志望校に合わせたカリキュラムを設定します。
他には、中学受験をするつもりはないが、
難易度の高い問題に触れておきたい、という方には、
難易度の高い教材を使って思考力、読解力を鍛えることも可能です。
もちろん、公立中進学を意識して、
小6の終わり頃から中学校の予習を開始という通塾パターンにも対応しています。
(この層が1番多いです。)
過去3年間、主な中学受験の合格実績は、
高輪、東海大浦安、かえつ有明、普連土学園、淑徳巣鴨、関東学院、大妻中野、トキワ松、立正大附属
です。
相談だけしたい、教材だけ購入したい、と言ったケースも、お気軽にご連絡ください👍
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是非一度WEBパンフレットをご覧ください!
ITTO個別指導学院は、
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◾️品川戸越銀座校
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